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歪んだ愛の果て…正しさとは?ELECTROCUTICA の『Blindness』を私なりの解釈で紐解く

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音楽

この記事では、私がこの世で一番愛している

ELECTROCUTICA(エレクトロキューティカ)の Blindness

という楽曲の歌詞と、その世界を紐解いていきます。

では早速、楽曲の紹介から始めていきましょう。

 

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PVと歌詞

歌詞はこちらからどうぞ

 

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楽曲情報

※敬称略

投稿日:2009年12月9日

動画投稿サイト:ニコニコ動画

作曲:Treow(逆衝動P)

作詞:NaturaLe

PⅤ:喜多嶋時透

プログラミング:C’s

アルバム:Piece of Cipher+収録

 

知らないから、見えない

 

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Blindnessとは?

そもそも曲名の「Blindness」とはどんな意味でしょうか?

盲目無知、向こう見ず、失明、無分別

英和辞典を引くとこのように出てきます。

物理的に目が見えないという意味と、心理的に見えなくなってしまうという意味の二つがあります。

歌詞を紐解いていくと、どうやら今回は後者の意味合いになりそうです。

動画説明文に書かれた「知らないから、見えない」もヒントになっていますね。

 

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単語の読み方

NaturaLe氏の歌詞は独特の世界観をもっており、単語の読み方をあえて変えている箇所が多々あります。

Blindnessの特殊な読み方をしている単語を、こちらでは一気に紹介していきましょう。

 

蒼(あと)

絆(こゆび)

父(かれ)

焦点(ピント)

舞台(テラス)

矯正する(しかる)

振動(リズム)

常識(ピント)

音(こえ)

他人(ひと)

基準(ルール)

確認(そんざい)

圧し吐け(おしつけ)

小石(しるし)

方法(もの)

 

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楽曲の感想

この曲を初めて聴くという方も多いでしょう。

PVには歌詞も映し出されていますが、あなたはこの曲を聴いて何を感じたでしょうか。

複雑に絡み合う変拍子と、ふわふわとしていながら、それでいて何処か閊えているような居心地の悪さ

美しく繊細な音使いであるのに、楽曲全体にべったりと纏わりつくような不気味さ

何かを揶揄しているのか敢えて隠すような難解な歌詞。

 

私は初めてこの楽曲を聴いたとき、いろんな意味で鳥肌が立ちました。

この楽曲は…一体なんなんだ…?

今あなた自身が持っている感想や感覚を、決して忘れずに次の章をご覧ください。

この先、私なりの解釈(ネタバレ)をしていきます。

 

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歌詞の世界観

結論から言います。

この楽曲は、自分の父親から〇的〇待を受けている少女の物語です。

※この時点で不快感を感じた方はこの先の記事は読まないことをお勧めします。

この一文を読んだ後、是非もう一度楽曲を聴いて、歌詞をなぞってみてください。

ここでは最初の原曲ではなく、私が一番この楽曲にあっている声と思うF9さんの動画を。

さっきまでと違った世界が見えてきます。

薄暗く影を落としてい陰の要素に納得がいった方もいるかもしれませんね。

 

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登場人物

歌詞から読み取れるこの物語の登場人物を解説していきます。

 

自分

少女。この物語の主人公。

(何故、少「女」なのかは歌詞を紐解いた際に解説します。)

一人称は「僕」

 

父(かれ)

少女の父親。

少女から「あなた」と呼ばれる。

 

他人(ひと)

第三者。

(児童相談所や警察のような、少女と父親の世界外の人間全般)

 

とても親子の関係性とは思い難い、他人行儀な呼びあいです。

彼女達が生きる世界の歪さの片鱗が見え隠れしています。

 

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物語のはじまり ~父性愛=暴力~

いよいよ歌詞の解説です。心の準備はOKですか?

 

自分だから悪いんだ
無数の蒼を飾る

「無数」という点から、少女は日頃から暴力を受けているようです。

「蒼(あと)」とは、鬱血して残ってしまったあざのことでしょう。

「飾る」という表現から、少女はあざのことを決してマイナスには捉えていません

暴力を受ける理由はこんな「自分だから悪い」と、まるで自身に言い聞かせているようでもあります。

 

絆の贈り物
父の焦点は合わない

「絆(こゆび)」とは父と子の血の繋がり

そして小指につけるものと言えば運命の赤い糸

この二人は親子関係という情だけではなく、恋愛感情で互いに愛し合っているのです。

(こちらについても後半で解説します。)

そんな危うい関係の二人。

少女は洗脳されている可能性が十分にありますが、父親は自分のしている行為がどういう意味かを解っていないはずがない。

「焦点(ピント)が合わない」とはいわゆる、貞操概念常識理性、ということを指しているのでしょう。

 

虹が未知を悔い契る
答えが問いを恋わす

よく目のピントが合わないときにキラキラしたものが見えますよね。

理性を失った父親は「虹」という美しい世界を見出だし、「未知」=道を踏み外してしまった。

それは少女も同様かもしれません。

殴られることでしか感じられない愛情は、少女にとって蜜の味だったのかも。

未知なる先に進めば進むほど膨らむ甘い誘惑にふっとよぎる後悔。

 

しかし戻れなくなってしまったんでしょうね。

少女と「契る」=固く約束してしまうほどに。

きっと父親はこんな風にいったのでしょう。

「このことは二人だけの秘密だよ。大好きなパパの言うこときけるよね?」

少女は父親から暴力を受けています。

大好きな父であれ、絶対的な力の差を知っている彼女は「うん。」と答えるしかないのです。

 

「恋わす」で敢えて「壊す」という漢字を宛がわなかったのは互いの気持ちの表れです。

緊迫した空気の中で、大きく鳴る鼓動を恋心と錯覚してしまった少女。

父と子という関係性は壊れ、恋焦がれる男女になった瞬間です。

 

足をとられて 踊る舞台で
ざらつく声を聴いていた

恋に落ちた二人はこの日一つになったのでしょう。

そのときを迎え、初めて耳にする父親の「ざらつく声」どんな思いで聞いていたのでしょうか。

背筋が凍ります。

 

振り上げて 涙削る
在り触れた手
僕を矯正する
ちぐはぐな 慰めが好き

父親という「在り触れた手」は、今少女を殴るために「振り上げ」られています。

父親は自分好みの女に少女を「矯正する」ために。

そして、少女から見れば父親から愛という教育をうけているので「しかられている」

少女が自身を「僕」というのもここからですが、既に矯正されてしまっている様子がうかがえます。

何故ここまで少女が父親に絶対的信頼を置いているのか。

暴力の後、父親は少女を優しく「慰め」るからです。

 

少し話はそれますが、DVの被害者がどうして加害者から逃げられないのか、あなたはご存知ですか?

加害者はずっと暴力的でいるわけではなく、次のようなサイクルがあると言われています。

 

緊張期いらだちが募る

爆発期…緊張が頂点に達して激しい暴力を振るう

ハネムーン期…暴力を謝罪して優しくなる

 

つまり、ハネムーン期で被害者は

「この人の素の姿はやっぱりこれなんだ!優しいあなたに戻ってくれた」

と思うわけです。

加害者も被害者が自分から離れていくことに並々ならぬ恐怖を感じている共依存状態になってますので、心の底から謝罪します。

 

話を戻しましょう。

「ちぐはぐな慰め」とは激しい暴力の後の、打って変わったような父親の優しさ、甘えられる安心感

少女はそれが「好き」で、ずっとそれを求めているが故に離れられないのです。

 

視界の亀裂 振動の乱れ
痛みで知る “自分だけのため”
あぁ 満たされる

初めての行為での「視界の亀裂」が走るような感覚

信じられない程早くなる「振動(リズム)」=心臓「の乱れ」

処女を失った身体的な、そして暴力的な「痛み」で少女は「知る」のです。

これは「“自分だけのため”」に父(あなた)がしてくれているご褒美なのだと。

自分だけが父(あなた)を独占しているのだと。

今まさに自分は「満たされる」のだと。

 

あなたが言うから 森にひとりきり
そっと刻み込む
握る袖 その手だけ

この行為は、「あなた(父)が」二人の秘密だと「言うから」

外の世界の誰もが邪魔できない「森」=二人の暮らす世界「にひとりきり」で

「そっと刻み込む」=誰にも言わないと少女は心に誓います。

だって「握る袖」=頼れる人は 「その手」=父(あなた)の手「だけ」だから。

 

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物語の転換期 ~瓦解し始める世界~

父(あなた)のことを狂信的に愛し始めた少女は大人になりました。

そんな彼女に外界からの受け入れがたい事実が見え始めます。

 

自分だけが悪いんだ
無数の意図が絡み
間違いだと喚く
僕と常識が合わない

一番では「自分だから」だった歌詞が「自分だけが」に変わっています。

「自分だけ」つまり父(あなた)は悪くないと彼女は言います。

この言葉で分かるのは、彼女もいけないことをしているという自覚はどこかあるということ。

 

二人の異様な関係性に気づいた「無数の」外界の他人(ひと)(児童相談所や警察、彼女の友達など)が、

なんとか二人を引き離そうと「意図が絡み」交錯します。

彼らは口々に二人の関係はおかしい、「間違いだと喚く」のです。

身体を重ね、暴力を身に刻み付けることこそが愛情だと信じ、

矯正されてきた「僕(彼女)」にとっては「常識(ピント)が合わない」のは当然のこと。

 

迷うはずのない道で
「座っていてはダメ」と
脚が捩れて 折れた舞台で
不快な音が引き擦った

今まで「迷うはずのない道で」信じてきた愛情を否定された彼女。

疑問を感じ始めた彼女に、父(あなた)がそっとささやきます。

「座っていて」=悩んで考えて冷静になっては 「はダメ」だと。

ただ私(父)に身をゆだねていればいいと。

 

彼女を失うことを恐れたのでしょう。

彼女の「脚」を「捩」って=想像を絶する程の暴力 「折」り、二人の世界から逃げられなくしました。

監禁です。

「不快な音が引き擦った」のは動かなくなった彼女のと、壊れた衝撃で骨に響いた激痛

この後の間奏部分では、引き擦られた不快な音が見事に入っています。

まるで、彼女の脚を痛めつけた金属バットを床で引きずりながら去っていくような…

 

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物語の結末 ~正しさの所在とは~

長い間奏の後に訪れたのは穏やかな旋律。

そしてその後の重々しいワルツの音。

さぁ二人はどうなってしまうのでしょうか?

 

白い牢で浴びせられる 他人の基準
僕は知らない
間違ってない
痛みで確認できるもの

彼女はきっと保護されたのでしょう。

「白い牢」とは明らかに今まで二人が暮らしていた世界とは異なり、攻撃的な表現になっています。

客観的に見れば娘は父親の暴力から解放され、ハッピーエンドです。

 

しかし彼女からしてみれば、「他人の基準」という外界の傲慢な常識で、愛しあう二人を強引に引き離す許しがたい状況。

彼女は他人(ひと)に嘆きます。「僕は知らない」

父子で愛し合うことは「間違ってない」

何故なら「痛みで」彼(父)の愛情を「確認(そんざい)できるもの」と。

そしてこの言葉

 

思い上がりで圧し吐けないで

この曲のクライマックスです。

自分の幸せは他人がとやかく言って決められるものではない

どうして誰にも迷惑をかけていないのに邪魔をするの?

二人の世界を壊さないで!とも聴こえます。

 

正しくないと正しい枠を言葉で打つ
“自分達のため”
あぁ縛られる

父子強〇なんて「正しくない」間違っているに決まっていると。

「“自分達」=二人「のため”」なんだと、他人(ひと)は簡単に言ってのけます。

世の中の正しさという概念に縛られてしまった彼女。

 

どんなに泣いても 小石が途切れて
もう帰さない
辿る方法 この手だけ

愛するあなた(父)とは「もう帰さない」=二度と会わせてもらえない。

「どんなに泣いても」他人(ひと)は彼女の愛を理解してくれません。

「小石(しるし)」=愛された証拠であるあざ が会っていない日が重なれば重なるほど

「途切れ」=薄れてしまいます。

ここで敢えて「小石」と表記したのは、彼女にとってあなた(父)から貰ったあざは既に

婚約指輪の「小石」のような宝物になっていたからではないでしょうか。

もはやあなた(父)と会えない今、その気配を「辿る方法(もの)」は

「この手」に宿る父子の血と、運命の赤い糸「だけ」なのです。

 

ふたつが消えて みっつになって
嘔吐いた日々
それでも走って
あぁ帰りたい

「ふたつ」の命が息づいていた二人の世界は、他人(ひと)によって「消えて」しまった。

しかしながら彼女のお腹の中には、あなた(父)との愛の結晶である子どもの命が宿り、「みっつ」になったのです。

何故「みっつ」目が子どもの命と断言できるのか?

それは妊娠してつわりに苦しむ「嘔吐いた日々」が彼女にはあったから。

 

あなた(父)の血を引く子どもが産まれて束の間の幸せを感じた彼女。

「それでも」彼女は願わずにいられないのです。

今すぐにでも「走って」あなた(父)に会いたい

「あぁ」あの二人だけの幸せな世界に「帰りたい」と。

 

自分がないから あなたが教えて
ずっと刻み込む
握る袖 その手だけ

彼女にとってあなた(父)は全てでした。

喜びも、悲しみも、寂しさも、嫉妬も、苦しさも、痛みも、愛情も、

全てが「あなた(父)が教えて」くれたもの。

未来永劫「ずっと刻み込む」と彼女は誓ったのです。

あの日あなた(父)が彼女に誓ってくれたように。

いつまでも「握る袖」=信じ愛する正しさ は「その手」=あなた(父)「だけ」だと。

 

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知らないから、見えない

彼女は最後まで父親の与える愛情を信じ続けました。

その純粋すぎる愛情だからこそであるのにも関わらず、美しく輝いてみえるのでしょう。

しかしながら、愛情とはもっと複雑に絡み合い、人間の様々な感情に起因しているものです。

殴られなくても愛情を感じることはできますし、身体を重ねずとも存在する愛情もあります。

 

本当の「愛情」を知らないから、「正しさ」が見えない

 

彼女が愛情と感じている感情は寂しさです。

 

失いたくない!

自分のことはあなたしか知らない!

捨てないで!

 

そうなるように仕組ませた世界で、彼女を見てくれる人は父しかいなかった。

だから彼女は父に縋りつくしかなかった。

見えない、のではなく、見えないふりをするしかなかった、とも言い換えられるかもしれません。

 

「恋心」と錯覚したのも自己防衛でしょう。

彼女のいう「圧し吐け」られた「正しさ」という現実を正面から見てしまったら、

彼女の今まで生きてきた人生を思うと絶対に耐えられません

彼女に心の平穏が訪れることを、ただただ望むことしか…

 

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最後に

いかがでしたでしょうか?

かなりの長文になってしまいましたが、じっくりと『Blindness』の世界を紐解いていきました。

愛情をメインテーマに正しさとは何かをずっと問われ続けているような物語。

あなたはどんな感想を持ったでしょうか?

 

蛇足ではありますが、最後に私自身で歌ってみた「Blindness」をご紹介させていただきます。

ぜひ聴いてみてくださいね。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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